「明日のアポは何件ある?」仕事に必要な“コミュ力”とは

仕事に求められる「コミュ力」とは?
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上司とのコミュニケーションで大事なこと

最近、転職者や就活生から仕事に必要な「コミュニケーション能力」について聞かれることが増えてきた。

僕も会社員になりたての頃からいろいろと苦労してきたが、中でも上司とのコミュニケーションの取り方には気を遣ってきた。上司は頼りになる存在でもあるが、自分の評価者でもある。仕事を進める上で避けては通れないのが上司だ。

前回のコラムで反響があった「お前はどうしたいの?」リクルートで上司に“詰められた”話にも書いたが、上司の存在はとても大きいものだ。

僕はこれまでに複数回の転職を経験してきたが、どの会社においても上司とのコミュニケーションを大切にしてきた。ミッションの握りや上司との認識に齟齬があると、仕事の成果だけでなく、自分の評価にも影響する。

中には上司自体がイケてないケースもあるが、上司を選ぶことは基本的にできないため、こちらがまず努力するしかない。たとえ理不尽なことがあっても、他人や環境のせいにしていては、自己の成長は得られない。

相手がどんな上司でも「相手が聞きたいことを想像して伝える気遣い」がないとコミュニケーションは成り立たないし、成果も生まれないと個人的には思う。

仕事におけるコミュニケーションの大前提

僕が仕事におけるコミュニケーションで最も大切にしているのが「相手が聞きたいことを想像しながら話す」という点だ。

これは仕事での会話に限らず、転職の面接でも同じだ。「相手が何を聞きたいと思っているのか」を想像しながら話すことを常に意識している。

「聞かれたことに答えればいいだけじゃん」と思う人もいるかもしれないが、世の中には質問するのが下手な人もいるので「この人は何を聞きたいのか」を想像しながら話すことが大切だ。

この前提をもとに、僕がコミュニケーションで大切にしている2つのポイントを書いてみる。

1. 事実と推測を分けて伝える

1つ目に意識すべきは「事実」と「自分の推測・意見」を区別して伝えることだ。

これは僕が過去に経験したメンバーとのやりとりだ。

僕「先週一緒に同行したお客さんのところ、受注決まった?」

部下「いえ、まだ決まってないですよ」

僕「そうなんだ、今どんな状況なの?」

部下「他社と金額とか企画内容を比較して決めているんだと思います」

僕「ん?この前同行したときは他社は高いからうちにするって言っていたけど、お客さんがそう言ってたの?」

部下「いえ、直接言われたわけではないんですけど」

僕「お客さんは、なんて言ってたの?」

部下「とりあえず提案書と見積りが欲しいと言われました」

僕「それは出したの?」

部下「はい、メールで送りました」

僕「その返信にはなんて書いてあった?」

部下「多分、今検討している段階だと思います」

僕「お客さんからの返信をそのまま教えてもらっていい?なんて返信来たの?」

部下「いただいた見積もりが予算よりも高いため、社内にて再度検討させていただきます、と来てました」

僕「他社と比較するとはどこにも書いてなくない?あと、見積もりが予算より高いってあるけど、予算は事前に聞いたの?」

部下「大丈夫だと思いますよ。多分いけると思います」

僕「大丈夫……?ホントに……?」

聞けば聞くほど、不安になる会話だ。しかも質問の回答になっていない部分も散見される。

特に気になるのが、部下の“推測(意見)”がちょいちょい入っている点だ。

「他社と金額とか企画内容を比較して決めているんだと思います」「今検討している段階だと思います」「多分いけると思います」というのは、彼の推測に過ぎない。

事実は「見積もりが予算より高いから社内で再検討する」だ。

最初から事実だけ伝えてくれれば、こちらとしても次の打ち手の話に移れるのだが、推測を含めた会話を展開されると会話がややこしくなる。

経験上、こうした会話は状況が悪いときほど起きやすい。しかし、状況が悪いときこそ曖昧な表現や個人のポジティブな推測・解釈を会話に混ぜるのは危険だ。

恥ずかしながら、僕も苦しいときほど自分のポジティブな推測を交えたコミュニケーションをしていたが、良い結果につながったことは一度もなかった。

誰かに状況を説明するときには必ず「事実」から伝えたほうが良い。しかし、事実を伝えるだけでは自分の介在価値がなくなってしまうため、現場の視点を含めた自分の推測や意見を伝えるのがベターだ。

「事実」と「自分の推察」を会話の中できちんと分けて伝えるだけでも、ストレスの少ないコミュニケーションになると思う。

2. 結論ファーストで伝える

2つ目は、聞かれた質問に対して「結論から伝える」ことだ。

よく言われることだから「そんなの当たり前じゃん」と思う人も多いと思うが、結論が先立たない会話をしている人は意外と多い。

例えば下記のような会話が一例だ。

上司「明日同行するアポ、何件あったっけ?」

部下「明日は1件目がXX商事で、2件目がYY銀行、3件目はZZ不動産、4件目にAA信用金庫、そのあと部長と合流してBB証券の役員と六本木で会食です」

よく聞く会話ではあるが、上司が聞きたいのは「アポの詳細」ではなく「アポの件数」だ。

「明日のアポは4件です。その後に会食があります」くらいでちょうど良い。「アポ先って具体的にどこだっけ?」と聞かれたら、詳細を伝えるくらいがよいだろう。

結論を先に述べると会話が端的になるため、会話を長くするためにいろいろとしゃべってしまう気持ちもよくわかるが、会話は相手があってのことだ。落ち着いて結論から伝えることが大切だ。

こうした会話をできるようにするには「相手が何を聞きたいのか?」を考えるクセを身につけるといい。

僕は常に“質問する側の立場”に立って返答を考えるようにしている。仮に自分が「明日のアポは何件だっけ?」と人に聞いたとき、どんな回答をされたら納得するか?を想像するのだ。

「明日は〇〇のアポと〇〇のアポと……」と返答されるより、「明日は11時から4件入ってます、詳細をスケジュールに入れておきましょうか?」とか「4件ありますね、朝イチは9時からで、終わりは18時です」など、結論と自分が知りたかった点を端的に話してくれるほうが個人的には助かる。

ちなみに、結論ファーストどころか、「質問の回答にすらなっていない」コミュニケーションをしてしまう人もいたりする。

僕「明日って、アポは何件入ってる?」

部下「明日ですか、明日は天気が悪いみたいなんでタクシーとか拾いにくそうですよね。道も混みそうですし」

僕「(いや、アポの件数を聞いているんだけど……)」

あまりないケースだと思うが、万が一にも心当たりがある人は、こうした会話をしないためにも聞かれたことの答えを考えてから話すようにするといい。

コミュニケーションをする上では「相手が何を聞きたいのか?」「どう回答するのがベストなのか?」を常に考えながら、返答することが大切だ。

転職や営業でも“コミュ力”は大切

上司とのコミュニケーションで大切にしてきたことを書いてみたが、こうしたコミュニケーションは、転職などの面接や営業の商談においても役立つと思う。

特に転職の面接は時間が限られているため、会話のテンポも大切だ。面接官の質問にきちんと結論から伝えたり、これまでの実績などについて事実を伝え、自分の意見も合わせて伝えられるようにするだけでも採用側の印象は大きく変わる。

このあたりの転職面接に関する話は、また次の機会にでも書いてみようと思う。

まとめ

簡単ではあるが、僕が上司やメンバーとのコミュニケーションで気をつけてきたことについて書いてみた。

改めて考えると、コミュニケーションというのは非常に難しい。論理的な会話を展開しすぎて、正論で相手を追い詰めてしまうと「ロジハラ(ロジカルハラスメント)」というものになり、相手が本来の能力を発揮できなくなることもある。

僕自身もロジハラに近いことを受けた経験があるが、数字や論理がすべてといったコミュニケーションは、仕事をしていても楽しいと思えなくなり「だったらあなたが考えてやってくださいよ」と感情的になってしまうから難しい。

上司としても、メンバーとしても、仕事におけるコミュニケーションはお互いの気遣いが大事なのだ。少しでも参考になればと思う。過去のコラムもぜひ読んでもらえたら嬉しい。

コラムについて

ここでは筆者であるmotoが日頃思っていることを書いています。

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    執筆者・監修者のmotoについて

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    戸塚俊介。1987年長野県生まれ。地方ホームセンターやリクルート、ベンチャー企業など7社に転職後、副業の転職メディアを上場企業へ売却。現在は「転職アンテナ」を運営するmoto株式会社HIRED株式会社の代表取締役。著書に『転職と副業のかけ算』(扶桑社)、『WORK』(日経BP)がある。(有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-313037)。

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