就活生が企業を選ぶ基準に「将来的にどの会社でも活躍できる力を得られる会社」が多く挙がっているようです。
就活で人気のリクルートとサイバーエージェント
「将来的にどの会社でも活躍できる力を得られる会社」について、具体的にどの会社か聞いてみるとリクルート、サイバーエージェント、DeNAなどが候補にあがってきます。毎年、就活生にとても人気のある企業群です。
「活躍できる力をつけたい!」という意欲的な気持ちは尊重しますが、企業選びの基準という点においては、僕は少し違和感を感じました。
しかし、この違和感はサイバーエージェントの松村さんが以前アメブロで『会社は学校じゃねぇんだよ』という記事を読んで解消されました。以下、当時の文章の引用です。
学生気分で会社に来てるヤツがいる。 お前、何しにきてんの? 「先輩に教えて頂きながら~~~」 「いい友達ができるように~~~」 「どんな仕事にチャレンジできるんですか?」
とか。 ふぬけた事を言ってるヤツがいる。
(俺は)サイバーエージェントグループの一員として、 21世紀を代表する会社を創るため。 そして、WAVESTを日本を代表する会社にするため。 そのためだけに会社に来ています。
仕事なんて全部自分で見つけてこいよ。 ここは学校じゃねぇんだよ。
まさにこれだなと。
「将来的にどの会社でも活躍できる力をつけられる会社に行きたい」というのは向上心があるように見えて、根底にあるのは受け身の姿勢なんですよね。
会社というのは学校ではなく、お金を生み出したり、世の中を良くする、自分の会社がやりたことを実現するためにあるわけです。すごく当たり前のことなんですが、この目線は意外となかったりします。
活躍する人が持つ「共通の目線」
僕もリクルートに在籍していたとき「活躍できるスキル欲しいなぁ」と考えてました。そんな甘ったれた僕に当時の上司であった大黒さんはこう教えてくれました。
「リクルート事件があった当時、明日にも会社が潰れそうな状況で俺たちが採用したかったヤツは“どの企業でも活躍できるエリート学生”とか“前職で優秀だった人”なんかじゃない。
明日潰れるかもしれないリクルートという会社を“潰さないために一生懸命努力できる人間”だ。そういうスタンスを持った人間が、今でも社会で活躍してるんだよ。」
聞いたあとで、なんて愚かな質問をしたんだろう…と恥ずかしくなったのを覚えてます。
目の前のことに一生懸命になるとか、絶対にやり切るという「考え方」とか「姿勢(スタンス)」「目線」が大切なんです。恐らくこれが「どの企業でも活躍できる人」に共通する素地なんだと思います。
また、僕がリクルートで働いていたとき、部長に何を聞いても「お前はどうしたいの?」という返事しかもらえず「なんだよコイツ」と思っていたとき、部長からこんな言葉ももらいました。
「仕事では“どうしたらいいですか?”でなく“こうしていいですか?”と許可を求める行動をした方がいいよ。自分の意思がない仕事なんて楽しくないでしょ?やらされ仕事にしちゃだめだよ。」
先ほど引用させてもらったサイバーエージェントの人は、まさにこのスタンスを持っていて、しかもそれがサイバーエージェントのビジョンともマッチしている。こういう人を採用できるサイバーエージェントの採用力はすごいと思います。
環境よりも目線とスタンスが大事
もし、今の僕が「21世紀を代表する会社を一緒に作りたい、藤田さんが目指す世界を一緒に実現したい!」と本気で思ったらサイバーエージェントに転職しますし、もし僕が「社会の不を解消したい!国民のために何かしたい!」と強く思ったら政治家を目指します。
就職活動や転職活動においては「自分が成長できる企業はどこか?」という自分視点だけなく「自分が成長させたい企業はどこか?」という視点も持っていないと、いつまでも受け身の姿勢でしかいることができません。
今は個でも活躍できる時代になっています。会社により掛かるだけでなく、会社を成長させる力を自分で持つことが強みになります。
会社を使って成長しつつ、どんな会社の成長でも牽引できる人材になれれば、個として求められるようになると思います。
将来的に活躍できる力というのは、会社の環境だけでなく「自分のスタンスも大切だ」というお話でした。
僕はリクルートの創業者である江副さんの言葉もいつも参考にしています。特に「リクルート創業者「江副浩正」が30年前に新入社員へ贈った“12の言葉”」は今でも大切にしているので、合わせて読んでみてください。
また、もしリクルートに興味がある人は、僕がリクルートへ転職した際の転職サイト、転職エージェント記事も合わせてご覧ください。参考になれば幸いです。
執筆者・監修者のmotoについて
moto
Follow @moto_recruit
戸塚俊介。1987年長野県生まれ。地方ホームセンターやリクルート、ベンチャー企業など6回の転職を経験後、「転職アンテナ」を運営するmoto株式会社を上場企業へ売却。現在はHIRED株式会社(有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-313037)の代表取締役。著書は『転職と副業のかけ算』(扶桑社)、『WORK』(日経BP)、YouTubeチャンネルは『motoの転職チャンネル』がある。