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転職前提で選んだファーストキャリア
僕はこれまでにリクルートやSMS、ハウテレビジョンなどのベンチャー企業を経験し、30歳で年収は1,000万を超えましたが、新卒で入社したのは綿半ホームエイドという地方のホームセンターでした。
当時の初任給は年収240万(ボーナス含)。レジ打ち担当だったので、買い物へ来た友人には「お前、バイトしてんの?」と言われ、親には「お金は大丈夫なの?」なんて心配される日々を過ごしました。
学生の頃から人一倍年収へのこだわりを持ち、就活で大手の内定をもらったにも関わらず、年収240万の地方ホームセンターを何故選んだのか。
理由は「稼げる最短ルート」だと思ったからです。
短大卒で感じた就活の壁
僕は公立の短大に入学したので、就活は18歳~19歳で経験しました。
当時からお金を稼ぎたい欲が強くあったので、高年収=大手と考えて大手企業メインで就活を考えていました。
しかし、大手の多くは大卒・院卒しか受け付けておらず、短大卒の身分ではエントリーすら出来なかったり、短大生=女子というイメージから「短大生で男子?そんな学校あるの?」と言われ、短大卒という立場の弱さに愕然としました。
それでも「学歴で仕分けされてたまるか!」「僕に会う前から駄目だと決めつけるな!」と怒りに変えて、自分が受けたい企業に片っ端から電話して「短大でも履歴書とESだけは送らせてください」とお願いの電話をすることにしました。
とはいえ、電話したところで「ネットから応募してください」「人事お繋ぎすることはできません」と断られるばかり。
あまりの悔しさから、なんとか繋げてもらえるように一度会ったことがあるかのような親しい感じで電話したり、代表電話のときだけ大学の職員を装って人事に繋いでもらったり、兎に角突破する方法を模索し、ひたすら電話し続けました。
なんとか人事に繋がると、直接電話してくる就活生は珍しいと面白がってくれたり、高卒扱いでもよければ受けてみてください、みたいな感じで選考参加をOKしてくれて、何社か面接選考にいくことができました。
せっかく掴んだチャンスだったので、大卒に負けないようにと、自分なりにプレゼン資料を作って面接官に配ったり、事前に社長へ手紙を送ったり、自分でサイトを作って紹介したり、いろんな手を使って自分のアピールする努力をしました。
それでも、大卒という学歴の壁に負けることは多々あって、同じ就活生にさえも「え?短大なの?19歳?」「短大枠とか無くね?コネなの?」などの嫌味言われたりして、その度に悔しい思いをしました。
学生時代に転売などで貯めたお金で上京して一人でホテルに泊まって就活し、企業に受け入れてもらえないどころか同じ就活生にも馬鹿にされる状況に、大学への編入を考えたり、そもそも就職できないかも…と帰りの夜行バスの中で泣きそうになったりもしました。
「自分の営業」をし続けた
お祈りメールや電話で選考落ちの連絡をもらうたびに「ああもうダメかも、、」と凹んでいましたが、必死に受け続けた結果、当時楽天さんや、yahooさんに内定を頂くことができました。震えるほど嬉しかったのを覚えています。
内定を獲得してからは、なんだか自信もついてきて、ある程度内定が揃ったタイミングで最初に電話で断られた大手企業にもう一度電話をして「●●社に内定もらったのですが、御社もあきらめきれないので、まだ枠に空きがあればぜひ選考に参加させていただきたいです」という電話をして、一度断られた企業にも再度面接の機会もらったりしてました。
今思えば完全に営業です。「内定実績あります!自分はこんなことできます!」みたいな安っぽい資料を作ってメールして、面接で落ちるたびにその資料をアップデートして、他の会社に送って受かるか試してみたり。
でもそれがすごく楽しかったので、当時から営業適正はあったのかもしれません。
この頃から就活が楽しくなって、毎日自分の売り込みをしてました。ネットや電話、手紙でアプローチして、本当に多くの企業や人に出会うことができました。
目指す先への最適解か?
短大ながら大手に内定をもらって、自信もついて、東京で働くのが楽しみ!なんて思っていましたが、内定通知書を並べて、初年度の年収を眺めていたときに、ふと「大手って本当に稼げるのか?」「大手に入った後どうするんだっけ?」っていう疑問が浮かんできて、突然「あれ?これで良かったんだっけ?」となってしまって。
就活にありがちなことですが、僕はいつの間にか「大手に内定すること」がゴールになっており「これは当初目標としていた、稼ぐための道筋として正しいのか?」と改めて考えるようなりました。
改めて、内定した企業の社員さんに年収の話を聞いたり、出世の実態について聞いて思ったのは「入社前から短大卒というハンデを背負った僕が、自分より優秀な人もたくさんいる中で、のし上がれるのか?」ということ。
この大手に入るという選択は、30代で年収1,000万にたどり着く道筋として、本当に適切なルートなのか?
当時の僕の結論は「多分、ならない。」でした。年収1,000万を目指すなら部長クラスまで昇進しないといけない、でもどの会社も役職者は若くて30代後半だし、実力主義というわけでもない。ここで就活での動き方を大きく変えました。
就活軸を見直した
「短大卒というハンデがありながら、今こうして大手に内定をもらうことができているわけだから、もっと自分が旗を上げやすい環境で実績つくって、転職でのし上がったほうが早いし、カッコいいかもしれない!」
ちょうどテレビで「六本木のIT企業ではヘッドハンティングが当たり前で、実績がある人には企業から声がかかる、20代で年収1,000万も叶う時代になった」なんて流れてたのを見て「これだ!」と考え、実力をつけてのし上がる選択肢を考えました。
例え初任給が安くても、将来への投資だと割り切る。その代わり、自分が早期に評価されるところに行ってめちゃくちゃ努力して実績積んで転職でのし上がろう。30歳で1,000万に絶対になろう。そう決めました。
早期に評価されるってどんなところだろうと思ったときに、大手に働いていた優秀な方々に教えてもらった「短期で業績結果が出る」「自分が自由にやっても怒られない」「転職で評価される実績が出せる」だろうと考え、ここから大きく就活軸を変えました。
働きやすさでスピード取るなら、東京という新しい環境に身を置くより、慣れた環境の方がスピードが出しやすいと考えて、エリアは地元を選択。
業績の結果が短期的に出るのは、IT企業などが理想ですが、地元にそういった企業はなかったので、短期で数字が出る、売上を数字で積みやすい、という点で小売を選択。
その結果、業績は悪くないけどイケてない感じの地元に根ざした展開をするホームセンターをみつけました。
実際によく買い物へ行っていたホームセンターでしたが、本当にイケていなくて、勿体無いなぁと思っていたので、面接でその旨を社長に直接伝えたところ内定をいただくことができたため、その場で入社を決めました。
ホームセンターではもちろん努力をしました。レジ打ちだけでなく、大型の新店舗を出す経験や人事の経験をさせてもらったことで、転職でも評価をいただき、リクルートや楽天など、今までにはなかったキャリアの選択肢を選ぶことができるようになりました。
評価される場所を見つけること
自分がどうなりたいかにもよりますが、僕は若くしてお金を稼ぎたかったので、シンプルに「本当にこの選択肢で若くして稼げるのか?」と考えて、結果として若くして成り上がるための最短ルートを見つけました。
リーマンである限り、評価される環境に身を置くのが一番だと今振り返っても思います。
年収240万でホームセンターというキャリアは結果として後悔のない選択になりましたが、努力していなかったら転職もできなかったし、年収も上がらなかったと思います。
結果論かもしれませんが「最初のキャリアがホームセンターだった」というだけ、のし上がってきた感じをわかってもらえるので、キャリアストーリーとしても良かったと思っています。まぁ当時はバイトだろとか言われて辛かったですけど。
いろんな就活のやり方があると思いますが「自分がどうなりたいか」というのが最も大事だと思うので、そこに時間軸も掛け合わせて、自分が目指す姿のルートを明確にして就活をするといいと思います。僕の経験が少しでも参考になれば幸いです。
就活の「苦労話」は著書にも
僕のこれまでのキャリアの中で考えたことや学んだこと、自分の生い立ちについて綴った著書『転職と副業のかけ算-生涯年収を最大化する生き方-』が発売されています。
就活だけでなく、転職や副業での考え方も書いているので、ぜひ時間のある学生のうちに読んでみてください。
執筆者・監修者のmotoについて
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戸塚俊介。1987年長野県生まれ。地方ホームセンターやリクルート、ベンチャー企業など6回の転職を経験後、「転職アンテナ」を運営するmoto株式会社を上場企業へ売却。現在はHIRED株式会社(有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-313037)の代表取締役。著書は『転職と副業のかけ算』(扶桑社)、『WORK』(日経BP)、YouTubeチャンネルは『motoの転職チャンネル』がある。