転職とスキルの関係について考えてみた

転職とスキルの関係を考える

転職とスキルについて

SNSを眺めていたら、少し前の日経の記事が目についた。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ159NV0V10C21A2000000/?unlock=1

最近は大手でも業績が悪化し大規模なリストラに乗り出すニュースを見聞きする。会社は自分を守ってくれない。そもそも大手は同期が多く、出世できるのも一握りだ。

だったら規模は小さくて、成長している会社に入ってスキルを身につけたほうがいい。そう考え、会社の規模にこだわって就活した。将来は地方創生に関わる仕事に携わることを目標に掲げる。1社目で武者修行した上で転職や独立をするつもりだ。

1年ほど前の記事ではあるが、一つの会社に依存することは危険だ、という感覚が就活生にも広まっているらしい。

これはとても良いことだと思うし、スキルは身につけておいて損はない。実際に僕自身もそう考えて今のキャリアをつくってきた。

しかし、個人の価値が問われる社会において「自己成長」ばかりを優先する考えには多少の違和感がある。

「成長している会社に入ってスキルを身につけたい」みたいな考え方をする人は、僕の観測範囲でもここ数年で増えたように思う。

僕自身も「スキルを伸ばしたい!」と思っていた時期はあったが、今はまったく思わなくなった。このあたりの思考の変化については『リクルートやサイバーエージェントで活躍する人材が持つ「目線」と「スタンス」』を読んでもらえたらと思う。

「会社に依存せず、どんな会社でも活躍できる力が身に付く会社に行きたい」というのは一見すると向上心があるように見えるが、根底にあるのは受け身の姿勢だ。会社は学校ではない。

まず、働く上ではスキル自体を持っていることに価値があるのではなく「スキルを使ってどんな課題を解決したか?」「スキルを活かしてどんな成果を出せるか?」という部分に自分の介在価値がある。

会社は価値や利益を生み出す組織であり、スキル教育をしてもらう場ではない。優先順位は自分のスキルを得ることではなく、会社の利益を増やす行動をすることだ。これが結果として自分の価値につながる。

最近では、副業で動画編集スキルを高めようとか、ライティングスキルを身につけようという発信も見かけるが、そうした小手先のスキルだけを身につけるのではなく、スキルを活かして目の前の課題を解決し、そのプロセスを通じて成果を得ることで、自分の経験値を増やすことが大切なのだ。

スキルは得ることがゴールなのではなく、課題解決の手段として活用しないと意味がない。スキルを使ってどんな価値を出せる人間なのか?を語れるようにすることが、本当の意味で企業に依存しない人材になる上では必要だ。

また、昨今の副業文脈でも目にする「本業で学んで副業に活かす」という点にも注意する必要がある。本業での学びが副業に活きるシーンは多いと思うが、まずは会社でやるべきは組織への価値貢献だ。その過程の中で、副業に活きるスキルや経験が身についてくると思う。

自分のリターンを考えた仕事のやり方に偏ってしまうと、組織に求められているミッションや本来出すべき成果とズレが生じてしまい、本業での評価に影響する可能性がある。

どんな仕事でもそうだが、自分と向き合うより、他人や組織に対する介在価値を高めるほうが学びは多い。組織で働きながら個人のスキルを求める人は多いが、まず目指すべきは「売上を伸ばせる人材」だ。

転職は「どんなスキルを持っているか」ではなく「何を解決できるのか?」が大切であることを忘れないでほしい。自分の持つスキルが売上にどうつながっているか?を組織の中でも意識することが大切だろう。

僕自身も、ここを間違えないように日々の仕事に向き合っていこうと思う。

Q&A

【質問】

motoさんの記事、大変興味深く参考にしています。

motoさんが転職しようかな?と思うタイミングはどこにあるのでしょうか。例えば、入社時に数年働いてやめてやる、と決めて働いていたりするのか、それとも年収ベースでこれぐらいになったら次のステージに行くとか、色々あるかとは思いますが、転職するタイミングを聞きたいです。

悪い時ではなく好調ないいときにやめるべきという話もありますよね。もちろん実績を積んだ後というのが大前提だとは思いますが…。よろしくおねがいします。

【回答】
「売れるときが、売り時」という言葉があるように、「転職できるときが、転職時」だと思っています。「売りたくないときが売り時」という言葉のほうがよりわかりやすくて「転職したくないときが、転職時」だと僕は思います。

前提として、転職のタイミングに悩むより、まずは転職先の内定を取ってから行くかどうか悩むのが鉄則です。転職におけるタイミングや理由に正解はなく、求人との巡り合わせとオファーがすべてだと思っています。

僕の場合「現職が絶好調の時」に転職するようにしてきました。もう少し言うと、自分の中で「今の会社での経験を、他社でも再現できる自信」を持つことができた時です。

年収を上げるために同じ職務で業界を変える「軸ずらし転職」を実行するために、現職の経験を再現できる状態にならないと転職しない(できない)、というのもこの理由につながっています。

社内でMVPを取るなど社内の物差しにおける評価はあまり気にしておらず、売上や利益をつくる経験を再現できると思った時や、今ならほかの会社でも同じ成果を出せると感じたときが、僕の転職タイミングです。

脂が乗っている時期に転職するほうが、鮮度が高いので買い手側も欲しがってくれます。このときが一番転職活動がスムーズにいくときです(ただし、退職交渉は大変になります)。

逆に、転職しないほうがいいタイミングは存在します。それは仕事や給与の不満を環境や会社のせいにしているときです。

経験上、今の仕事がイヤな状態で転職活動をすると、人事側に自分自身の鮮度が低く映るだけでなく、「転職すること」がゴールになってしまい、判断がしにくくなります。

また、転職活動は在籍中に取り組むほうが心に余裕をもって取り組めます。

「年収が上がらない」「環境が悪い」「上司が使えない」という理由で転職を考え始めても、いい転職にはならない傾向があるので、まずは成果を出し、自分が活躍している状態で転職活動をするのが良い転職につながるのではないかと思います。

参考になれば幸いです。

コラムについて

ここでは筆者であるmotoが日頃思っていることを書いています。

主に転職やキャリアについて書いてます。更新は不定期ですが、僕なりの転職の考え方に関する内容を発信していきます。

本コラムに関するご意見・ご感想、転職に関する質問についても受け付けますので、 @moto_recruit や下記のフォームからお送りください。転職に関する質問には、コラムの最後でお答えしていきます。

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    執筆者・監修者のmotoについて

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    戸塚俊介。1987年長野県生まれ。地方ホームセンターやリクルート、ベンチャー企業など7社に転職後、副業の転職メディアを上場企業へ売却。現在は「転職アンテナ」を運営するmoto株式会社HIRED株式会社の代表取締役。著書に『転職と副業のかけ算』(扶桑社)、『WORK』(日経BP)がある。(有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-313037)。

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