転職エージェントと一口に言っても、ノルマに縛られすぎて求職者を商品としてしか見ていなかったり、経験が足りない未熟なエージェントがいたりします。結果として、転職者を後悔させてしまうエージェントが少なからず存在することも事実です。
質の悪い転職エージェント経由で転職を進めてしまうと、転職時のミスマッチからキャリアをうまく積めず、最悪の場合は早期離職につながってしまうことがあります。
ここでは転職エージェントのデメリットをご紹介します。
転職エージェントのデメリットを解説
転職エージェントのデメリットについてご紹介します。
1.内定が出やすい求人を紹介されてしまう
転職エージェントが自分のノルマを達成しようと、書類選考なしで内定が出やすい求人しか送ってこないケースがあります。
現在、あなたが4年目の営業マンだと仮定します。この時、書類選考に通過して内定が出やすい「営業経験4年以下」の求人しか提案してこないエージェントは、あなたのキャリアについてきちんと考えているとは言えません。
あなたのスキルにもよりますが、良い転職エージェントは企業人事と交渉して面接ではなくカジュアル面談を組んでくれるとか、仮に現在募集しているポジションがなくても「こんなに良い方がいるので、まずは会って判断してください」という形でポジションをつくる動きをしてくれたりします。
こうした転職エージェントの裏事情については『【転職エージェント裏事情】転職のプロが教えるエージェントの本音と活用方法』をご覧ください。
2.経験の浅い転職エージェントが担当になることがある
実際に私も転職活動中に経験したことなのですが、教育体制が十分に整っていない転職エージェントでは、エージェント歴が浅く経験のない新卒でもお客さんを担当させてしまうケースがあります。そうなると、プロフェッショナルであるはずのエージェントが右も左もわからないままに、求人紹介をしてくるケースがあります。
私の場合は、まったく興味のないグループ子会社を紹介されたことがありました。経験の浅い担当者がついてしまった場合は、担当変更を申し出てください。自分の人生を左右する大事な転職活動なので、信頼のできるパートナーを見つけましょう。
3.マッチ度を無視した求人を勧められてしまう
転職エージェントの中には紹介料(提示年収の30~40%)を受け取っているので、少しでも高い給与の企業に入社させようとしてくる人もいます。
事例としては、内定が2~3社出た場合によくあるケースで、言葉巧みに提示年収が最も高い企業に誘導してくることが多いです。
このようなケースでは、自分の頭できちんと考えるようにしてください。エージェントが嘘をついている場合などは論外ですが、「やっぱりあちらの会社にしておけばよかった」などとならないように、エージェントや友人など他人の意見は参考程度にして、最後は自らの判断で転職を決意することが大切です。
4.自分のペースで転職活動を進められないことがある
転職エージェントのデメリットとして、自分のペースで転職活動を進められないことがあります。
転職エージェントに登録すると、求人の紹介や面接日程の調整など、エージェント側からスケジュールを決められて行動しなければならないことがあります。転職エージェントもビジネスであるため、なるべく早く内定がもらえるように急かしてくるケースもあります。
こうしたケースの転職エージェントと出会った場合の対処法は『転職エージェントがむかつく理由と対処法』をご覧ください。
転職エージェントを使わなくてもいい人
メリット・デメリットの両側面を踏まえると、下記に該当する人は転職エージェントを利用しても、思ったほどメリットを得られない可能性が高いです。その特徴をご紹介します。
1.自分のペースで転職活動をしたい人
自分のペースで転職活動をしたい人は転職エージェントの利用が向いていません。
転職サイトは自分の好きなタイミングで求人を検索することができるため、自分に合った時間で利用したい人には向いています。土日しか転職活動ができない人や、仕事に合間に求人を検索したい人には転職サイトがおすすめです。
2.志望企業や希望求人が明確な人
転職先の企業が明確な人も、転職エージェントは使わないほうがいいです。
自分が志望する企業の求人を検索し、好きなタイミングで応募することができるため、転職エージェントよりも効率的に転職活動を進めることができます。
また、志望企業が絞られている場合には、転職サイトではなく企業HPから応募することも有効なので、合わせて確認してみるとよいでしょう。
3.いろいろな求人を見たい人
多くの求人を見てから転職を決めいたいという人も転職エージェントは使わないほうがいいです。
転職エージェントの場合、自分に合った求人しか紹介されませんが、転職サイトの場合は自分の好きな条件で求人を検索することができます。
多くの求人を見た上で転職活動をしたい、という人には転職サイトがおすすめです。このあたりの詳細については『転職エージェントは使わないほうがいい?エージェント以外の転職方法を徹底解説』をご覧ください。
転職エージェントの賢い活用術
転職エージェントのデメリットを防ぐためのポイントを解説します。
1.面談であなたが求めていることを伝える
転職エージェントを使いこなす上で大切なのが、自分のステータスをきちんと伝えることです。
「すでに退職交渉しているため、すぐに転職したい」「まだ転職は考えていないが、条件に合う求人があれば受けてみたい」「今の自分が受かる求人があるか知りたい」など、あなたが転職エージェントに何を求めているのかをきちんと伝えることが大切です。
それによって転職エージェントの行動も変わってきます。
2.転職エージェントとこまめに連絡を取る
転職エージェントは、一人の担当者が数十人の求職者を担当しています。そのため、日々たくさんの連絡に対応しています。
求人の紹介だけでなく、企業側との面接日時の設定や、応募先企業からフィードバック、求職者のフォローなど、多くの業務をこなしているため、返信の早い人を優先してしまう傾向があります。
最近では、各転職エージェントがアプリなどを出しているため、アプリ上でやりとりすることもでできるため、できるだけ返信を早くすることをおすすめします。
返信が早い人のほうが転職エージェントに熱意があることが伝わりますし、常に連絡を取ることで自分のフォローをしっかりとしてもらえるようになるので、連絡はこまめに行うと良いです。
3.紹介された求人に対してコメントする
転職エージェントから求人を紹介されたとき、ただ受け取って終わりにするのではなく、それぞれに求人に対してどう思ったかを伝えるようにしてください。
「なぜこの求人に応募しないのか」「どうしてこの求人が良いと思ったのか」という理由を細かく伝えておくと、転職エージェント側も徐々にあなたの希望を理解し、提案してくれる求人の精度が上がってくるはずです。
いい求人がない、とあきらめるのではなく、こちらの希望をきちんと伝えて擦り合わせていくことが大切です。
こうした転職エージェントとの面談については『転職エージェントの面談は何を話す?服装や面談内容を徹底解説』をご覧ください。
【デメリットを踏まえた】おすすめ転職エージェント
デメリットを踏まえた上でおすすめの転職エージェントをご紹介します。
1:リクルートエージェント
口コミ:リクルートエージェント 評判を確認
おすすめ度:★★★★★
公開求人数:510,459(2024年12月18日現在)
求人数増減:+6,769(先週比↑up)
【公式サイト】https://www.r-agent.com/
『リクルートエージェント』は利用者の60%が年収アップしているという実績があります。
業界最大手の転職エージェントであるリクルートエージェントは、面談の日程調整がしやすく、土日でもしっかり対応してくれます。また、掲載されている求人の質の高さや、面接後のフォローなどの満足度が非常に高い転職エージェントです。
また、リクルートエージェントは非公開求人を大量に保有しています。転職サイトにはない求人を選択できるので、転職サイトと転職エージェントを合わせて利用することをおすすめします。
リクルートエージェントの評判については「【口コミ】リクルートエージェントは実際どうなのか?口コミと評判を調べてみた」でご紹介しています。
出典:公式サイト
2:doda転職エージェント
口コミ:doda 評判を確認
おすすめ度:★★★★★
公開求人数:254,493(2024年12月18日現在)
求人数増減:-322(先週比↓down)
【公式サイト】https://doda.jp/
『doda転職エージェント』は、幅広い業界の求人情報を扱う業界大手の転職エージェントで、dodaのみに掲載されている求人も多く、求人数はリクルートエージェントに次いで多いです。
初めての転職であっても、キャリアアドバイザーのサポートを受けながら応募書類を作成することができ、面談のフォローなども手厚くしてくれます。
業界大手の転職エージェントとあって大きな不満はなく、業界最大数の求人を保有しているので登録しておくことをおすすめします。
出典:公式サイト
3:マイナビエージェント
口コミ:マイナビエージェント 評判を確認
おすすめ度:★★★★★
【公式サイト】https://mynavi-agent.jp/
『マイナビエージェント』は「20代に信頼されている転職エージェント」として人気があります。2023年、2024年と2年連続でオリコン満足度ランキング1位を獲得しています。転職エージェントの担当者がキャリアの悩みに一つ一つ丁寧に答えてくれるので、初めて転職する方でも安心です。
また、企業担当にもつないでくれるので、職場の雰囲気など、求人票に載っていない情報も企業担当から直接知ることができます。面接前などに話を聞いておくと良いでしょう。
※マイナビのプロモーションを含みます
出典:公式サイト
4:type転職エージェント
口コミ:type転職エージェント 評判を確認
おすすめ度:★★★★・
公開求人数:12,862(2024年12月18日現在)
求人数増減:+135(先週比↑up)
【公式サイト】https://type.career-agent.jp/
『type転職エージェント』は、主に関東エリアの都市部(東京・神奈川・埼玉・千葉)の求人に強い転職エージェントです。どの転職エージェントよりも手厚い転職支援サービスを行っています。
在籍しているキャリアアドバイザーは主にITやWeb、営業、販売・サービス、メーカーなどに強いため、業界を絞って転職活動を進めたい方におすすめです。
type転職エージェントは、キャリア相談から応募書類の添削・面接対策、入社にあたってのアドバイスなど、転職活動全般にわたってサポートを行ってくれるので、転職に慣れていない人にもおすすめです。
出典:公式サイト
【種類別】転職エージェントのメリット・デメリットと対策
転職エージェントは種類によってメリットやデメリットが異なるため、それぞれのエージェントについて解説します。
1.大手総合型転職エージェントのデメリット・メリット
メリット:大手総合型の転職エージェントのメリットは、大手ならではの求人数の多さです。
「自分は何に興味があるのか」「大事にしている軸は何か」「今、何に不満を感じているのか」などがわかるようになると、求人の希望も伝えやすく、担当者とのコミュニケーションもスムーズになります。
デメリット:総合型転職エージェントは、対面や電話による面談があるため安心感がある一方、入社間もない新人が面談を担当することがあります。
場合によってはミスマッチな求人をもらったり、返信が遅かったりすることがあります。
解決策:こうした転職エージェントとの面談では「年収はXXX万円以上、勤務地はXXとXX、業界はXXとXXとXX、職種はXXとXXとXX、役職はXX以上」などと、希望を幅広く伝え、今ある求人で該当するものをすべて提示してもらうようにしてください。
2.職種・業界特化型転職エージェントのデメリット・メリット
メリット:職種・業界特化型の転職エージェントは、特定の業界や職種に精通しているため、大手総合型エージェントにはない求人を保有しています。
また、転職エージェントのキャリアアドバイザーは自分が得意とする分野を持っているため、総合型に比べて情報が豊富です。総合型や小規模の転職エージェントは「人材業界」の経験しかありませんが、特化型の転職エージェントは、担当のエージェント自身が「金融業界」や「コンサル業界」「IT業界」などの出身者であることが多いです。
デメリット:職種・業界特化型の転職エージェントは、大手転職エージェントと違って、大量に求人を紹介することが得意ではありません。そのため、少ない求人しか紹介されないことがデメリットとなります。
しかし、一方でこうした転職エージェントは徹底して転職決定にコミットしてくれます。面接対策や過去に聞かれた質問なども把握しているので、決定率は高いです。
解決策:こうしたタイプの転職エージェントとの面談は「少し転職に慣れている雰囲気」を出しておくといいです。すでに他社のエージェントと面談もしていて、企業とも面接しているくらいの姿勢で臨むと、転職エージェントが推してくる求人の幅を増やしてくれます。自分に合った条件を引き出すようなコミュニケーションを意識してみてください。
3.年代別特化型転職エージェントのデメリット・メリット
メリット:年代別特化型転職エージェントは、特定の年代に強いことから、各年代にあったノウハウを持っており、手厚いサポートを受けることができるのがメリットです。
20代ならば、履歴書や職務経歴書の書き方がわからない人に対するサポートが手厚かったり、30代であればキャリアアップを得意とする転職エージェントなどがいます。自分の年代にあったサポートを受けられるのが特徴です。
デメリット:年代別に特化した転職エージェントの場合、希望職種や業界の求人が少ないケースがあります。求人の選択肢が少ないのがデメリットです。
解決策:あまりにも紹介される求人が少ない場合には「いろいろな求人を、今すぐに見たい」とはっきり伝え、自分に合う求人を徹底的に出してもらい、将来のキャリアを含めて企業選びの相談をすると良いです。
転職エージェントを利用する際の注意点
デメリットも踏まえた上で転職エージェントを利用する場合の注意点について解説します。
1.併用する転職エージェントは最終的に1~2社にする
転職活動初期は、転職エージェントの複数利用がおすすめですが、転職活動の終盤では利用する転職エージェントは絞っていくのがおすすめです。
最終的に利用する転職エージェントは1~2社、多くても3社程度に抑えた方が良いです。キャリアアドバイザーとの相性や紹介してくれる求人の質、企業との交渉力などから総合的に判断し、自分に合った転職エージェントに絞っていくようにしてください。
最後まで複数利用してしまうと、情報量が多すぎて決められなくなってしまうため、1社程度に絞って利用するようにしてください。
2.複数の転職エージェントを利用していることを伝える
複数の転職エージェントへ登録した場合、それぞれの転職エージェントに他社なども複数利用している旨はきちんと伝えてるのがおすすめです。
競合他社を利用していることを伝えることで、他社に負けないよう積極的に転職支援を行ってくれます。また、複数利用していることを伝えることで、同じ求人を紹介されたときに断りやすかったり、面接日時の設定などで他社とバッティングしても調整しやすくなるなどのメリットも生まれます。
他社を利用していることは隠さずに伝えるようにしましょう。
3.キャリアアドバイザーとこまめに連絡を取る
転職エージェントは、一人の担当者が数十人の求職者を担当しています。そのため、日々たくさんの連絡に対応しています。
求人の紹介だけでなく、企業側との面接日時の設定や、応募先企業からフィードバック、求職者のフォローなど、多くの業務をこなしているため、返信の早い人を優先してしまう傾向があります。
最近では、各転職エージェントがアプリなどを出していてアプリ上でやりとりすることもできるため、できるだけ返信を早くすることをおすすめします。
返信が早い人の方が転職エージェントに熱意があることが伝わりますし、常に連絡を取ることで自分のフォローをしっかりとしてもらえるようになるので、連絡はこまめに行うようにしましょう。
4.同じ求人に別々の転職エージェントから応募しない
転職エージェントを利用する際は、他社エージェントで応募した求人に応募しないように注意してください。
重複して応募をした場合、最初に応募した転職エージェントの扱いになるため、2番目以降にエントリーした転職エージェントの労力は無駄になってしまいます。
転職エージェントは応募にあたって推薦文を書いたり、企業へ人物紹介をしているため、他社から同じ求人に応募されてしまうとかけた時間が無駄になってしまいます。そのため、求人紹介が慎重になり、中にはそのままサポートを打ち切られてしまうこともあります。
きちんと応募した求人を把握し、重複しないように管理していきましょう。
まとめ
転職エージェントは効率よく転職活動を進める上でとても便利なサービスですが、デメリットも存在します。
転職エージェントが自分の転職活動に合っているかを見極めた上で、上手に転職エージェントを活用していきましょう。参考になれば幸いです。
執筆者・監修者のmotoについて
moto
Follow @moto_recruit
戸塚俊介。1987年長野県生まれ。地方ホームセンターやリクルート、ベンチャー企業など6回の転職を経験後、「転職アンテナ」を運営するmoto株式会社を上場企業へ売却。現在はHIRED株式会社(有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-313037)の代表取締役。著書は『転職と副業のかけ算』(扶桑社)、『WORK』(日経BP)、YouTubeチャンネルは『motoの転職チャンネル』がある。