
TwitterのDMで転職の面接に関する質問が増えてきたため、今回は私が「面接する際に見ている3つのポイント」と「どういう人が面接で評価されるか?」についてお伝えします。
転職の面接で話すこと
仕事での立場上、就活生や転職者の面接をする機会があります。
過去に在籍していたリクルートやベンチャー企業では、営業のポジションに付きながら転職者の採用面接をしてきました。
私がどの採用ポジションにおいても、必ず見るようにしていたポイントは3つです。
・この人は“何が”できる人なのか? ・この人に“再現性”はあるのか? ・情報を“どのように”見ている人なのか?
採用ポジションや採用要件によって見るポイントの角度の違いはありますが、私が面接でどのようなポイントを見ていたかを書いておきます。
1.この人は、“何が“できる人なのか?
まず1つは「この人は、何ができる人なのか?」です。面接する側と面接される側の認識でズレていることが多いのがこの点です。
例えば「私は売上目標を120%で達成してきました。四半期の全社会議でMVPを獲得し、年間では社長賞も授賞しました!」という自己紹介をする人によく出会います。
「達成率120%という圧倒的な実績と、自社の社長にも認めてもらっている私は、誰よりも営業デキます!」という主旨を伝えたいのだと思いますが、面接する側が知りたいのは、結果ではなく「で、あなたは何ができる人なの?」です。
MVPや、社長賞も大きな評価や実績ですが、それはあくまで「社内の物差しにおける評価」なので「そうか!この人を採用したら売上が上がるかもしれない!おい君、彼は一体どこで!」とはなりません。
伝えるべきは結果のスゴさではなく「“どうやって”目標達成率を120%にしたのか?」という部分です。
面接では結果を推すよりも「目標に対して、自分ががどんなアクションをしたのか」という点を伝えるのが鉄則です。プロジェクトの大きさや結果のスゴさより「自分が実行したアクションの深さと濃さ」が肝です。
具体的には「どんな目標があって」「その目標を達成するために何を考えて」「自分がどんなことをしたのか」を丁寧に話すこと。どんな相手にも、背景情報まで含めてわかりやすく話すことが大切です。
更にいうと、自分に与えられた目標だけでなく「会社として目指している景色」まで踏まえて話ができると、もう一段高い評価に繋がります。
会社が目指している「上流部分」を見つつ、自分が行う「下流部分(手元のミッションと具体的なアクション)」を把握・実行して会社の成果につなげる行動が出来る人は、とても評価が高いです。
会社が目指している上流部分から物事を捉える力は急には身につかないので、日頃の仕事の中で視座の高さを意識して仕事に取り組むのがおすすめです。
会社は組織なので、与えられた個人の目標を達成するだけでなく「組織としての目標」や「その目標を達成することで見える組織の風景」なども考えて行動できると、どの会社でも評価されると思います。
2.この人に“再現性”はあるのか?
2つ目のポイントは「再現性」を考えられるか、という点です。
「何ができる人なのか?」がわかってくると「この人がうちに入社して、同じように活躍できるか?」という点を見ます。
商品や組織の形、価格もステークホルダーも違う環境の中で「前の会社と同じように活躍できる力があるのか?」という「再現力」はとても重視します。
僕は、いわゆる「市場価値」というのはこの部分にあると思っています。
「成果を出すプロセスで、何を考えて、何をしたか」だけでなく「その成果を出す経験を通じて得たことを、自分の血肉に出来ているか?」が自分の市場価値に大きく寄与します。
「もし仮に、もう一度同じ仕事をやるなら、どうやりますか?」と問われたときに「前回と同じことを、同じようにやって、前回と同じ成果を出す人」と「一度経験したことを活かして、効率よく、高い成果を出す人」では評価は大きく異なります。
面接官を勤めてきた経験上、「これまでのキャリアで経験したことを、この会社でどう活かせるか?」を解像度高く説明できる人ほど再現性は高い傾向にあります。
説明するにあたっては、新しい会社での仕事を「映像」で想像できるくらいまで情報収集し、映像の中で「あ、この部分は今までやってきたことが活かせそうだ」というポイントを絞って面接で訴求するのが良いです。
これまでの経験を自分の血肉とし、高いパフォーマンスで再現できる人は面接シーンに限らず市場での評価も高いです。
また、「成功体験だけ」を血肉とするのではなく、仕事を振り返ったときの失敗や後悔を「反省・内省」についても自分の経験に刻んでおくのが良いです。
面接を受けている会社に入社したら「これまで自分がやってきた経験」を「どのように活かして」「どんなパフォーマンスを出せるか」という「自分を採用するメリット」と「自分の企業貢献度」について、再現性を含めて説明できるようにしておくと、年収交渉などもしやすくなります。
3.情報を“どのように”見ている人なのか?
最後のポイントは「情報に対する見方」です。
「情報源」や「情報感度の高さ」はもちろんですが「面接者がその情報をどう見ているのか」や「その情報について自分がどう思い、どう発信するのか」について見てます。
「事実」と「感想」を分けて話せているか、「客観的に捉えられているか」など「情報に対するその人の捉え方、発信の仕方」でビジネス感度や日頃のインプット量を見てます。
こうした部分は日頃の積み重ねなので、付け焼き刃ではどうにもならないので「その人の素の部分」がよく見えます。
決してインプットの量を見るのではなく「そのインプットから、何を考えたのか?」を見ることで、その人の思考や思想がわかるようになります。
ビジネスをする上で情報の取り方と捉え方はとても大切なので、情報感度の高さや、自分の意見を持てる人を僕は高く評価しています。
また、自分の意見を持っている人ほどTwitterでのフォロワー数も多く、仕事に対する情報感度も高い傾向があるので、SNSやニュースの見方や意見の発信については日頃から鍛えておくと良いと思います。
決して「フォロワー数が多いほうが良い」という話ではなく、「情報の取り方」と「発信のやり方」が大事なので、聞いてもないのに「僕はフォロワー1,000人います」とかは言わない方がいいです。※ここの認識も間違っている人多いです。
終わりに
僕がよく見ているポイントについてお伝えしましたが、面接に正解はありません。ですが、少なくともここに書いたポイントを話せるようにしておくことは、今後の自分のキャリアにおいて役立つ武器になると思うので、参考にしてみてください。
こちらの内容は私の書籍にもまとめているので、ぜひ読んでみてください。
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moto(戸塚俊介)
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1987年長野県生まれ。地方ホームセンターやリクルート、ベンチャー企業など7社に転職後、副業の転職メディアを上場企業へ売却。現在は「転職アンテナ」を運営するmoto株式会社とHIRED株式会社の代表取締役。著書に『転職と副業のかけ算』(扶桑社)、『WORK』(日経BP)がある。(有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-313037)。